気候変動と自然農

慣行農法と気候変動

気候変動と慣行農法は、互いに深く関係し合っています。慣行農法が気候変動を加速させる要因となる一方で、気候変動は慣行農法に深刻な影響を与えています。


慣行農法が気候変動に与える影響

慣行農法とは、一般的に化学肥料や農薬を多用し、機械化された大規模な農業生産システムを指します。この農法が気候変動に与える主な影響は以下の通りです。

慣行農法と気候変動1
  • 温室効果ガスの排出:
    • 化学肥料の使用: 化学肥料、特に窒素肥料の製造には大量のエネルギーが必要です。また、過剰な使用は土壌から**一酸化二窒素(N2O)**という強力な温室効果ガスを排出します。
    • 化石燃料の使用: 大型農業機械の稼働や、農薬・肥料の製造・輸送には化石燃料が大量に消費され、**二酸化炭素(CO2)**を排出します。
    • 水田からのメタン排出: 水田では、稲わらが分解される際に**メタン(CH4)**が発生します。
    • 畜産業からのメタン・一酸化二窒素排出: 集約的な畜産業では、家畜の消化過程や排泄物からメタンや一酸化二窒素が大量に排出されます。
  • 土壌の劣化と炭素貯留能力の低下:
    • 耕うん(土を耕すこと): 頻繁な耕うん作業は、土壌中の有機物を分解し、貯留されていた炭素を二酸化炭素として大気中に放出します。
    • 単一作物の栽培(モノカルチャー): 土壌の栄養バランスを崩し、微生物の多様性を減少させます。これにより、土壌が炭素を吸収・貯留する能力が低下します。
  • 森林破壊:
    • 農地を拡大するために森林が伐採されることがあり、これは炭素吸収源の減少と、貯留されていた炭素の放出につながります。

気候変動が慣行農法に与える影響

慣行農法と気候変動2

気候変動は、気温や降水パターンの変化、異常気象の増加などを通じて、慣行農法に多大な影響を及ぼしています。

  • 生育環境の変化:
    • 気温上昇: 作物の生育期間が短くなったり、高温障害(例:米の白未熟粒の発生、果物の着色不良)が発生したりします。栽培適地が変化し、これまで育てていた作物が育ちにくくなることもあります。
    • 降水パターンの変化: 集中豪雨による洪水や土壌浸食、長期的な干ばつによる水不足など、予測不能な降水パターンが作物の生育に悪影響を与えます。
  • 病害虫の増加と拡大:
    • 温暖化により、これまで生息していなかった地域で新たな病害虫が発生したり、既存の病害虫の活動期間が長くなったりすることがあります。これにより、農薬の使用量が増加する可能性も出てきます。
  • 土壌の劣化:
    • 極端な降雨は土壌浸食を加速させ、土壌の肥沃度を低下させます。また、高温は土壌有機物の分解を促進し、栄養素の損失につながります。
  • 収量の不安定化と品質低下:
    • 異常気象の頻発や生育環境の変化により、作物の収量が不安定になったり、品質が低下したりするリスクが高まります。これは食料供給の不安定化にもつながります。
  • 伝統的な農業暦の混乱:
    • 長年の経験に基づいてきた作物の植え付けや収穫のタイミングが、気候変動によってずれてしまい、農家が対応に苦慮するケースも出てきています。

このように、慣行農法は温室効果ガスを排出し、気候変動を加速させる一方で、気候変動の進行によって、その持続可能性自体が脅かされています。この悪循環を断ち切るためには、環境負荷の少ない持続可能な農業への転換が求められています。

承知いたしました。Canvasの「Makomo Base tea 2024年製造・販売実績 売上報告書」ドキュメントの選択されたテキストについて、自然農と気候変動の関係性についてご説明します。


気候変動軽減のための自然農

自然農(自然農法、有機農業、環境再生型農業など、様々な呼び方がありますが、ここでは化学肥料や農薬に頼らず、自然の生態系を活かす農法全般を指します)は、気候変動に対して、**その影響を軽減する(緩和策)影響に適応する(適応策)**という両面で重要な役割を果たすと考えられています。

1. 自然農が気候変動の緩和に貢献する側面(温室効果ガス排出削減・炭素貯留)

自然農と気候変動

慣行農法が温室効果ガス排出の原因となるのに対し、自然農は排出量を削減し、大気中の炭素を土壌に貯留する(炭素貯留)効果が期待されます。

  • 温室効果ガス排出量の削減:
    • メタン・一酸化二窒素排出の抑制: 土壌の健康を保ち、有機物の管理を適切に行うことで、水田からのメタン排出や土壌からの一酸化二窒素排出を抑制する効果が期待されます。
    • 化学肥料・農薬の不使用/削減: 化学肥料や農薬の製造には大量のエネルギーが使われ、温室効果ガスが排出されます。自然農ではこれらを使用しない、または大幅に削減するため、その製造・運搬に伴う排出を抑えられます。
    • 化石燃料の使用削減: 不耕起栽培など、土を耕す回数を減らすことで、トラクターなどの機械使用に伴う燃料消費を削減できます。
  • 土壌への炭素貯留(カーボンファーミング):
    • 不耕起栽培: 土を深く耕さないことで、土壌中の有機物が分解されにくくなり、炭素が土中に閉じ込められやすくなります。
    • 有機物の投入: 堆肥や緑肥(土壌を肥やすために栽培し、土にすき込む植物)などを積極的に利用することで、土壌中の有機物が増え、炭素が土壌に蓄積されます。
    • 多様な作物の栽培: 単一作物ではなく、様々な作物を混植したり、カバークロップ(土壌を覆う作物)を導入したりすることで、土壌微生物の活動が活発になり、土壌の炭素貯留能力が高まります。
自然農と気候変動2

2. 自然農が気候変動への適応に貢献する側面(異常気象への耐性)

気候変動による異常気象が増える中で、自然農は作物が変化する環境に適応し、被害を軽減する手助けとなります。

  • 土壌の保水力向上:
    • 化学肥料や農薬に頼らず、有機物豊富な健全な土壌は、スポンジのように水を蓄える能力が高まります。これにより、干ばつ時には水分を保持し、豪雨時には過剰な水を吸収して、作物へのダメージを軽減します。
    • 土壌浸食の防止にもつながります。
  • 生物多様性の確保:
    • 様々な作物を混植したり、雑草や益虫との共存を促したりすることで、畑の生態系が豊かになります。これにより、特定の病害虫が異常発生するリスクが減り、自然のバランスで病害虫を抑制する仕組みが働きます。
    • 気候変動によって病害虫の分布や発生パターンが変化しても、多様な生態系はより高い耐性を持つと考えられます。
  • 作物のストレス耐性向上:
    • 健全な土壌で育った作物は、根が深く張り、気候変動による高温や乾燥、病害虫などのストレスに対して、より強い耐性を持つ傾向があります。
  • 地域の環境に応じた柔軟な栽培スタイル:
    • 画一的な農法ではなく、その地域の気候や土壌、生態系に合わせた柔軟な栽培方法を取り入れることで、変化する環境に適応しやすくなります。

このように、自然農は温室効果ガスの排出を抑え、土壌に炭素を貯留することで気候変動の緩和に貢献します。同時に、健全な土壌と多様な生態系を育むことで、異常気象などの気候変動の影響に適応し、持続可能な農業を実現する可能性を秘めていると言えるでしょう。

緑米田植えから60日


Life3091ではこのような背景を受けて、14年前から自然農に取り組んできました。これまで多くの方に支えられながら、取り組みを進めてきました。特に米づくりにおいては三無主義(無肥料・無農薬・無除草剤)に加え不耕起栽培での栽培を続けて今年で3年目になります。この農法は先に述べた日本農業政策の抱える課題を全て解消できると考えて取り組んでおります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です