耕作放棄地を耕せ! 〜自然農法だからこそできるこれからの米づくり〜

耕作放棄地に実った古代米(緑米)

私たちが暮らしている地域は、限界集落と呼ばれる場所です。高齢化が進み、農業をやめる方も少なくありません。その結果、長い間手がつけられていない農地(耕作放棄地)がたくさんあり、これからも増えていくかもしれません。

でも、そんな耕作放棄地で米づくりを始めるには、「自然農」がぴったりなんです!大型の機械は必要なく、スコップ1本あればスタートできちゃいます。ここでは、そんな自然農法でのお米づくりの一年を、皆さんにわかりやすくご紹介していきます。一緒に自然と寄り添う暮らしをのぞいてみませんか?

1 戦後の稲作機械化の流れ
2 機械化のメリットと課題
3 耕作放棄地を耕す

戦後の日本では、稲作をはじめとする農業の機械化が急速に進みました。特に、1950年代から1970年代にかけては、農業の近代化政策が推進され、稲作における作業効率が劇的に向上しました。この機械化の背景には、労働力不足と生産性向上の必要性がありました。

1 戦後の稲作機械化の流れ

  1. 1950年代: 機械化の始まり
    • 戦後の復興期、日本の農村は労働力不足に直面しました。戦争で多くの若者が犠牲になり、また都市部への移住が進んだため、農業の担い手が減少しました。
    • この時期に導入されたのが、脱穀機や動力ポンプなど、作業を部分的に省力化する機械です。これにより、一部の作業が手作業から機械作業に切り替わりました。
  2. 1960年代: トラクターや田植え機の普及
    • 農業の近代化政策により、政府が機械化を支援。小型トラクターや動力耕うん機(管理機)が普及し、耕うん作業が機械化されました。
    • 特に1960年代後半には、手押し型田植え機が普及し始め、田植え作業の省力化が進みました。このころまではまだ、家族や地域で協力して田植えを行うのが一般的でした。
  3. 1970年代: コンバインや大型機械の導入
    • 1970年代には稲の刈り取りから脱穀までを一度に行う「コンバイン」が登場し、普及が進みました。これにより、収穫作業が大幅に効率化されました。
    • 同時に、歩行型から乗用型へと機械の大型化が進み、大規模農家を中心に使用されるようになりました。
  4. 1980年代以降: 機械化の完成と高性能化
    • 稲作の全工程、耕うん、田植え、収穫、乾燥、選別が機械で行えるようになり、機械化がほぼ完成しました。
    • 高性能な田植え機やコンバインが開発され、GPSを活用した機械も登場。農作業の精度が向上しました。

2 機械化のメリットと課題

メリット

  • 労働力の大幅な削減
  • 作業時間の短縮と効率化
  • 生産量の安定と向上

課題

  • 機械の購入費や維持費が高額
  • 農地の規模に合わない機械では効果が限定的
  • 機械化により地域の共同作業が減少し、農村の人間関係が希薄化する一面も

3 耕作放棄地を耕す

耕作放棄地とは

**耕作放棄地(こうさくほうきち)**とは、農地のうち、以下の条件を満たすものを指します:

  1. 過去1年以上にわたり耕作されていない土地
  2. 今後も耕作する予定がない土地

日本では、農林水産省が定義しており、具体的には「耕作目的で使用されていた農地が、現在は何らかの理由で利用されず、荒れた状態になっている土地」を指します。

主な原因

  • 高齢化や後継者不足:農業を続ける人が減少している。
  • 経済的な理由:収益性の低下により耕作を続けるメリットが薄れる。
  • 都市化や過疎化:都市部では宅地化が進む一方、地方では人が減り農地が放棄される。

問題点

  • 雑草や害虫の発生:周囲の農地に悪影響を及ぼす。
  • 景観の悪化:地域全体の魅力が損なわれる。
  • 防災上のリスク:荒れた土地が災害時に崩れやすくなる。

活用方法

近年では、耕作放棄地を活用して「無農薬栽培」や「有機農業」を行う取り組みが注目されています。自然環境を生かした新しい農業の形が広がりつつあります。

こうした土地を再び農地として利用することは、地域の活性化や自然保護にもつながる重要な課題です。

耕作放棄地を耕す

ここからは実際に耕作放棄地を農地化した取り組みです。
今年新しくお借りした農地は、2年間耕作されていな、いわば耕作放棄地でした。写真は2024年4月20日の草刈りの途中の状態です。一面野草が生えていたため、とりあえず草を刈り倒していきました。

野草を倒した田んぼに水を入れて緑米の苗を一本ずつ植えていきます。田んぼは耕して代掻きしていないため草むらが水に浸った状態です。どこに苗があるかわかります?

草むらに水を張った田んぼでしたが、分けつが進むと段々稲らしくなってきます。苗の周りに倒した野草が発酵しているのが観えます。これが草抑えとなり、のちの野草が生えるのを抑えて、そして肥料になります。

不耕起で三無方式(無農薬・無肥料・無除草剤)の田んぼはたくさんの生き物が集まります。代掻きしていないため歩きやすく、株間45cmで植えた田んぼは子どもたちが生物観察をするのに最適です。隣の慣行農法の田んぼとは表情がかなり違うのがお分かりいただけると思います。

田植えから60日が経過した田んぼの様子です。周りの田んぼとは表情が違いますが、大地に根を張った稲がたくましく成長しているのがわかります。

9月19日、出穂が終わり稲穂が出揃いました。間に野草が生えてはいますが、十分に分けつがすすみ、まずまずの田んぼになりました。4月20日の野草を草刈機で倒した写真と同じアングルで撮影してみました。一面野草が生えていた田んぼとは思えませんね。

民泊のお客さまも手伝ってくださり、稲刈り、ハザ掛けも無事終わりました。

日暮の時刻も早まり、周りの田んぼは全て稲刈りが終わっているなかでウチの田んぼだけがハザ掛けが残っています。

民泊のお客様と一緒に脱穀作業を終えました。耕作放棄地を開拓した分、昨年よりも収量が多いですね。お客様の愛犬もいっしょです。

蒜山もちもち村さんで加工していただいたお餅が完成しました。年末のお正月用に300パックが完成しました。

蒜山もちもち村 〒717-0505 岡山県真庭市蒜山上長田1089−1

完成したお餅を焼いてみました。どことなく力強さが伝わってきます。実際に食べてみましたが、きれいで力強い味がするお餅が完成しました。

これまで人類を支えてきた農法も今過渡期を迎えています。緑の革命によりより多くの収穫量が得られ、急速な人口増加に対応して危機を克服するための重要な技術革新でした。しかしその成功は一部の地域に限定され、環境や社会に新たな課題をもたらしました現代では、これらの課題を乗り越えながら持続可能な農を考える時にさしかかっています。

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