小さな命を迎える喜び:シジュウカラの巣箱作りガイド
自然の中でさえずる野鳥の姿は、私たちの日常に豊かな彩りを与えてくれます。特にシジュウカラなどの身近な野鳥たちは、庭先でのひとときをさらに特別なものにしてくれます。このブログでは、そんな可愛らしい野鳥たちを庭に招き、自然との調和を楽しむためのヒントやアイデアをご紹介します。手作りの巣箱や餌台の設置、植栽の工夫など、あなたの庭が野鳥たちのオアシスになるための方法をぜひご覧ください。
Life3091がこの笠岡市の吉田に移り住む前、私たち家族は広島県福山市の住宅地に暮らしていました。あるワークショップで、家族みんなでシジュウカラの巣箱作りに参加したのは、もう13年ほど前のことです。完成した巣箱を庭の木に設置して、シジュウカラが来てくれるのを楽しみにしていましたが、残念ながらその巣箱で巣作りが行われることはありませんでした。
その後、今の場所に引っ越すことになり、巣箱も一緒に持ってきました。すると、その年のゴールデンウィークの頃、なんとシジュウカラがその巣箱で巣作りを始めたのです。それから毎年、ゴールデンウィークからバードウィークにかけて、シジュウカラがこの巣箱で巣作りをし、無事に巣立っていく姿を見守ることができるようになりました。
庭に野鳥が訪れる様子を見るのは、本当に楽しいものです。そんな経験がきっかけで、私もあのワークショップのように巣箱作りのワークショップを開くようになりました。参加してくださった方から「シジュウカラが巣作りを始めました!」と聞くと、本当にうれしくなります。
この喜びを、もっとたくさんの方と分かち合いたいと思い、ブログにまとめることにしました。
1.巣箱を作る
2.巣箱を掛ける
1.巣箱を作る
☆ 巣箱の大きさ
利用する小鳥によって巣の大きさが異なります。従って巣箱も好む大きさに作ることが必要です。小さすぎては使えないことは直ぐ分かりますが、大きすぎると敵に襲われる可能性が高くなるので、好まれません。特に入口の穴の直径はしっかり守りましょう。
ここではシジュウカラを対象とした大きさの巣箱を作ることにします。
野鳥の種類 | 穴の直径cm | 底面から穴までの高さcm | 高さcm | 幅 ・奥行cm | 設置高(m) | ||||||||
ヒガラ | 漂鳥 | 2.7 | 15 | 20~24 | 15 | 1.5~2.5 | |||||||
シジュウカラ | 留鳥 | 2.8 | 15 | 20~24 | 15 | 1.5~2.5 | |||||||
ヤ マ ガ ラ | 留鳥 | 2.8 | 15 | 20~24 | 15 | 2.5 | |||||||
スズメ | 留鳥 | 3.0 | 18 | 24~28 | 18 | 3 | |||||||
ム ク ド リコムクドリ | 留鳥夏鳥 | 5.5 | 18 | 24~28 | 18 | 3 | |||||||
セキレイ | 留鳥 | 前面開放 | 6 | 24 | 16 | 2.5 | |||||||
アオバズク | 夏鳥 | 11.0 | 30 | 45 | 25 | 5 | |||||||
フクロウ | 留鳥 | 15.0 | 40 | 60 | 40 | 5 |
☆ 材料
巣箱の構造と寸法
杉板
巣箱を作る板は杉が最も良いと思います。杉板はどこのホームセンターでも入手が出来、柔らかいので加工が楽で、軽くて耐久性があります。
板厚は1㎝前後のもので、鉋掛けなどで表面を滑らかにしたものでなく、製材し放しでざらざらとして自然に見えるものが小鳥に好かれるようです。ときどき絵を描いたり、入り口に止まり木を付けた巣箱の画像を見かけますが、あくまでも自然な状態の素材で作ってみましょう。
杉板の大きさは右の構造図を見て下さい。
その他、釘、針金(引っかけ金具)、蝶番、シュロ縄など
寸法と構造図を参考に杉板を切り、釘で組み立てて下さい。屋根の取り付けは蝶番で取り付け、がたがたしないように側面を留め金を引っかけて固定します。
これは雛が巣立ってから巣箱を清掃するためです。
隙間から雨水が入らない様、出来るだけ少なくなるように「イ」と接合をします。
また、中に水が溜まらないように底板「ヘ」の四隅には排水用の穴(直径3~4㎜)を開けておきます。
出入り口の大きさが最も大切でシジュウカラでは直径「2.8㎝」にします。
「イ」の四隅の穴は巣箱を取り付けるシュロ縄を通すもので、直径8㎜程度の穴を開けます。
出入り口の近くに止まり木などを付けたくなるが、蛇など敵の侵入の足がかりになるので付けないこと。
2.巣箱を掛ける
☆巣箱を掛ける時期
巣箱を掛けるのは11月~3月といわれていますが、出来るだけ早い時期に掛けてしまうのが良い思います。
巣箱を掛ける
☆巣箱をかける場所
地面から3メートル以上の高さで、周囲に枝がなくて見通しがよいこと。枝があり見通しが悪い場所は殆ど利用されない。特に前方
の枝を伝わって蛇などの敵が侵入しやすくなり、危険が迫ったときに逃げにくくなるためではないかと考えている。
幹に直接掛ける
幹は垂直よりやや巣箱の方に傾いでいる場所
上部の幹が屋根のようになり、雨水が巣箱に入りにくい。
近くに掛けない
多くの小鳥が子育て中は縄張りを作るので、一つの縄張りの中に複数あっても利用されない。
以上のことは雑木林に沢山巣箱を掛けて、巣箱の利用率を調べた結果から得られたものです。
シュロ縄でしっかり固定する
針金やプラスチックの紐で固定されていることが多い。しかも、自然保護のイベントとして巣箱掛けを行い、後は放置されている。
やがて木が生長し、針金や紐が幹に食い込んでしまう。
こんなことを防ぐために自然の繊維で作られたシュロ縄を使う。例え放置されても2~3年も経つとシュロ縄は弱くなり幹に食い込むことはない。
3.小鳥を観察しよう
3月の下旬になると春の到来を感じて小鳥達はカップルの相手を求めてさえずりを始めます。東京近郊ではシジュウカラのさえずり「ツッピー、ツッピー」が聞こえます。住宅地ではアンテナや電線に止まって!
シジュウカラ
そして、皆さんが掛けた巣箱がきにいったら地方やその年の気候によって異なるが、4月になると巣作りが始まります。
シジュウカラは3週間も経ち新緑が濃くなる時期(餌になる虫が多くなる)になると、雛が誕生し旺盛な食欲を満たすために餌探しで大忙しとなり、さえずりは聞こえなくなります。
小鳥の成長は早く更に3週間も経てば、巣立ちを迎えます。数羽の雛鳥(見かけは親とそっくり)を含めた家族で木から木へと渡りながら餌探しです。
耳を澄まして聞いていると、親鳥は低い種々な鳴き声を出して子鳥たちに話しかけています。「こちらに虫が居るよ」、「かってに遠くに行っては駄目」、「次の木に行くよ」などと言っているのではないでしょうか。
上空をトビが横切ったり、カラスが近づくと急に声が高く大きくなり「ツッピー・ジジジ、ツッピー・ジジジ」と警戒音に変わります。ざわついていた子鳥は一斉に枝陰に入り静かになります。
皆さんも少し離れた場所で、静かに観察してみましょう。
4.巣箱を点検、掃除しよう
☆使用状態の調査
11月になったら巣箱を下ろして、使用状態の調査をしよう。
アシナガ蜂やスズメ蜂が巣箱の中を占拠していることがあり、刺される危険があるので蜂の活動が終わった頃に行います。
☆シジュウカラの巣
使われていない場合、掛ける場所を変えてみることも良いでしょう。
シジュウカラは近くで得られる材料を用いるようです。
雑木林ではコケを多く使っています。その他杉の皮や細い枯れ草等です。Life3091ではヤギを3頭飼っているため、ヤギの白い毛も使われています。
巣箱の掃除、修理
古い巣は取りだして捨て、溜まっているゴミを払い、壊れ掛かっている個所があったら補修をしてかけ直します。
使った痕跡のある巣箱は同じ場所に掛けます。